10月のコラム
生活習慣病の大敵・肥満を解消する


○肥満はそれ自体が病気である
 健康にとって休養がたいせつであるとお話ししてきましたが、文字どおり休んで養ってばかりでは、肥満になってしまいます。「肥満はそれ自体が病気である」と、ある肥満の専門医がいっていましたが、まさにそのとおり、肥満は百害あって一利なしです。
 肥満は、高血圧、高脂血症、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、高尿酸血症、痛風、脂肪肝など、あらゆる生活習慣病の重要な危険因子です。ガンにしても、男性では大腸ガンと前立腺ガン、女性では乳ガン、子宮体ガン、卵巣ガンが肥満者に多発しています。また、重い体重を支えるために、骨や関節をいためたり、腰痛や膝痛を起こしたり、転んだり、階段から落ちたりしてケガをしやすく、交通事故も肥満者に多いのです。
死亡原因を正常体重者と肥満者で比較すると、すべてに肥満者が高く、唯一低いのは自殺者だそうです。

○運動で体を養うこともたいせつ
 というわけで、元気に長生きするためには、肥満を解消して、できるだけ標準体重に近づけておくことがたいせつです。 減量をするときには、食事を減らして摂取カロリーを少なくしますが、それとともに運動し消費カロリーを増やすこともたいせつです。運動はたまっている脂肪をへらすだけではなく、筋肉を増強します。筋肉を動かせばカロリーを使いますから、筋肉を増強するということは消費カロリーを増やし、減量の効果が上がりやすくなるのです。
 食事制限だけでやせていくと、体は余分なカロリーを貯えようとしますから、何かのはずみに食べすぎたときに、たちまち脂肪を貯えて、減量に失敗することがよくあるのです。ダイエットのためには、食事制限と運動は車の両輪、積極的に運動を行って筋肉を養い育ててください。

○脂肪解消のための食事と生活の心得
(1)食事制限と運動を根気よくつづけることがたいせつ
 体重を1kg減らすには、約7,000キロカロリー消費しなくてはなりません。1か月でこれだけ減量するには、1日約230キロカロリーですから、ご飯をお茶碗約3杯減らさなくてはなりません。運動でこれだけ消費するとしたら、1日に30-40分のジョギングが必要です。ですから、ダイエットをするには、食事制限と運動を合わせて、時間をかけて、根気よくつづけることが肝心です。
(2)体力の60%くらいの強さの運動が適当
 肥満者の運動は、足に負担のかからない固定式自転車や水泳、サイクリングなどが好適。なれてきたら、早足歩きやジョギングなども結構です。体力のめいっぱいを100としたとき、その60%くらいの強さの全身運動を、長時間行うのが効果的です。それ以上強い運動は、事故を起こしやすく、減量の効果もあまりあがりません。始める前に、必ず医師の健康チェックを受けましょう。
(3)こまめに体を動かそう
 太っている人は、一般に行動がゆっくりですし、すぐに休憩をとりたがる傾向がみられます。意識してこまめに体を動かすように努力しましょう。
(4)3食をきちんと食べる
 食事の回数をへらすと、栄養の吸収率が高まります。3食きちんと食べて、合計の摂取カロリーをへらしましょう。朝食抜き、昼食抜きは、案外効果があがりません。
(5)間食や夜食は肥満の原因
 間食のお菓子やスナック、清涼飲料などは、意外に高カロリーで肥満の原因になります。また、夜食は体に栄養を貯えやすいので注意が必要です。
(6)食物繊維をたくさんとって満腹感を
 食物繊維は栄養にならず、腹もちがよく、空腹感を満たすのに好適です。
(7)よく噛んでゆっくり食べること
 ゆっくりよく噛んで食べると、たくさん食べる前に、血液中の糖分が増加し、満腹感が得られるので、食べすぎを予防できます。
(8)男性はアルコール、女性は果物に注意
 食事をへらしているのに、なかなかやせないという場合、男性はアルコールが、女性は果物が原因になっていることがしばしばです。飲みすぎ食べすぎに注意しましょう。

C コハシ文春ビル診療所 院長 小橋 隆一郎