12月のコラム
「外食」は栄養の偏りと塩・脂肪のとりすぎが心配


 外食というのは、一般に栄養が偏りがちです。塩分を多く使っている、油を使った料理が多いなど、生活習慣病の原因になることがあります。お店によって、味付けや材料の選び方などは千差万別ですから、一概には言えないのですが、外食をするときの一般的な注意をお話ししましょう。

○栄養バランスのとれた料理を選ぶ
 ちょっと奮発して、レストランや料理店のコース料理を食べれば、たいていは栄養バランスのとれた食事ができます。しかし、毎日の昼食となると、ふところ具合や腹具合との相談もあって、安いもの、ボリュームのあるものを選びがちですから、栄養バランスがとれなくなります。例えば、ざるそば、ラーメン、鮫子ライス、肉の少ない焼きそばやカレーライス等ですと、タンパク(肉や魚など)が不足します。えびだけの天ぷらうどん、鉄火丼、カツ重、すしなどでは野菜類が不足します。
 栄養バランスを見る基本は、【穀類+タンパク質食品+野菜】がそろっているかどうかです。穀類は、ご飯、うどん、そば、パンなどです。タンパク質食品は、肉類、魚介類、卵、大豆製品などです。野菜にはキノコや海藻も含みます。この観点から、今日の外食を考えてみれば、何が不足していたかすぐにおわかりいただけると思います。
 ということで、栄養バランスのとれた食事をするには、定食とかランチ、幕の内弁当など、いろいろな食品が取り合わせになっているものを選ぶようにすると良いのです。あるいは、ざるそばをとったときには卵を1つ添えるとか、カツ丼には野菜サラダを添えるなど、不足している食品を加える工夫をしてください。

○野菜やくだものが不足しがち
 「日本人の栄養所要量から見ると、1日に野菜は300g(うち100gは緑黄色野菜)、果物は200g、必要とされています。外食に頼っていると、どうしても野菜が不足がちになりますから、なるべく野菜を多く使っている料理を選ぶようにしたいものです。サラダも結構ですが、野菜を生で食べると、量多くとることができません。その点、野菜炒めとか八宝菜などの中華系の料理は、野菜に火を通して食べるので、たくさんとることができます。おひたしなども、野菜をたくさんとるには適しています。
 くだもの不足を補うには、外食の後にみかんを1つ食べるとか、フレッシュ・ジュースを1杯飲むのもいいでしょう。食後にくだものを食べてビタミンCをとると、胃の中に発ガン物質が生じるのを予防します。

○塩分のとりすぎに注意
 お店や料理の種類によっても違いますが、外食は一般に味付けが濃くされていますから、どうしても塩のとりすぎになりがちです。ご存じのように、塩のとりすぎは高血圧や胃ガンなどの重要な原因になります。
 外食をするときには、しょう油やソースを余分にかけない、うどん、そば、ラーメンなどのつゆは全部飲まないなど、塩の摂取を減らすことを心がけましょう。すしというのは、すし飯をつくるときに塩を入れますから、さらにネタにしょう油をたっぷりつけると、塩をたくさんとることになりますから、気を付けてください。 健康のためには、塩の摂取はなるべく少ないほうがよく、特に血圧の高めの人は注意がたいせつです。

○油のとりかたにも注意が必要
 外食では油を使って調理されたものが、比較的多いようです。特に、バターやラード、ヘットなどの動物脂肪は味をよくするので、調理によく使われます。動物脂肪のとりすぎは血液中のコレステロールを増やし、動脈硬化を進行させます。動脈硬化は体の老化を進め、心臓発作や脳卒中の原因にもなります。 植物油を使うぶんにはいいのですが、これも古くなると体の害になる過酸化脂質が増えますから、安心はできません。作ってから時間がたっているお弁当や、古くなった天ぷら油で揚げたり、直射日光のあたるようなところで売っている揚げ物は要注意です。
 特に、血清コレステロールの高い人、心臓病のある人、肥満傾向の人などは、油ものをとりすぎないようにしたいものです。また、動物脂肪はマイナス面が多いですから、なるべく魚料理(魚の脂は逆に動脈硬化を予防する)を選ぶようにし、肉類を食べるときには、脂身は残すようにしましょう。

C コハシ文春ビル診療所 院長 小橋 隆一郎